無骨だが力強い面で構成されたファインダー周りなどボディーは魅力的。
「無骨」は機能美と存在感と言い換えてしまおう。基本的なボディーのサイズはキエフ4aと同じだが、上に伸びた分、異形、不細工なスタイルとなった。
まあ、これは露出計を不細工に増築するコンタックス流といえるし、好きな人は好きなのだろうし好みの問題かも。 それにここ2年ほど、ほぼ毎日ずーっと見ていたもので麻痺してしまい、実を言うと今ではさほど不格好に見えていないのであった。
ウィークポイントを並べ立てる |
巻き上げレバーはプレス部品。
修理直後はそんなこと無いのだが、巻き上げはガサついている。
巻き上げ角度は190°近くあり大きいが、小刻み巻き上げが出来、なんのかんの言ってもレバー巻き上げは便利。
また、 シャッターダイアルだけでも巻き上げが出来る。巻き上げレバーのギア方向のせいでキエフ4aと数字の並びが反対方向になっているのに注目。
このレバーはしばしばスタックする |
しかし、この巻き上げレバーはしばしばスタックするらしく、e-bayでの商品説明にもこのことへの注意書きを見つけた。
ウチにある個体では今のところ1台だけがスタックしただけだから、何でもかんでもこの故障があるわけではないようだ。
このスタックはシャッターボタンを一度空押ししてやるとレバーの引っかかりが取れて、何とかレバー巻き上げができるもので、 レバーに頼らずともシャッターダイアルで巻き上げ可能なので
「まあ、良し」とした。
どうせレバーではガサガサした感触の悪い巻き上げだし、無くてもさほど困らないのだ。そういえば、いままで入手したことのあるキエフ-5の多くがシャッターダイアルに大きく手ずれがあり、・・・要するにこの不具合のためにシャッターダイアルで巻き上げられていたらしい。シャッターダイアルはキエフ4aと同じセット方法で引き上げて回すタイプだが、それにしては手ずれが大きいと感じていたので「なーるほど」と謎が解けた感じだ。
フィルムカウンター周り |
フィルムカウンターは裏フタオープンでゼロ・リセットする。シャッターダイアルの隣、露出計の指標とフィルムカウンターは同じ窓で表示される。
この 窓はカマボコ型のレンズがはめてあり、斜めからも目視がしやすい(ような気がする)。
このメーターはキエフ3と同じ見方でいいようだが、それこそキエフ-3そのまま、戦前そのままのメーターなのかも知れない。
カウンターは4,8,16...と4進数、謎の4刻みで、たしかにフィルムは12、20...36枚撮りと確かに4の倍数だが、何故の4進数なのだろう?
ちなみに、このカウンターは不具合が多いようである。
ウチにあった1台は4から5、6コマ分ずつ進んでしまい、何枚撮ったのかさっぱりわからなくなってしまうものだったし、知人の1台はやはり正しい表示をしないものがあった。
ちょっと開けて直すには面倒な部分でもありフィルムカウンターの不具合はけっこう困る部分だ。
露出計のダイアル周り |
感度指標
たいした違いではないもののバリエーションがあった。つまり・・・"点と線"の違いである...
シャッターダイアルの反対側には露出計の感度セット・ダイアルがある。
測光範囲はゴスト表示のみで”16〜250”、レンジは可変しない。メーターが反応しないものは、もしかするとハンダが劣化して浮いているだけかも知れないので、もしハンダごてがあるなら付け替えてやるといいだろう。
キエフ5のセレン板は大きく、ハンダ付けは割と簡単な作業なのでメーターが死んでいる個体に当たったら、試す価値はあるのでは?いくつか見たなかでメーターそのものがNGにはまだ出会っていないから治る可能性は高いと思う。
ところで、ゴストは以前、諸説入り乱れていたが、もうしっかりした資料も出回っているようだ。
以下の表は、某掲示板で見た「65年LZOS製 ジュピター9のマニュアルに換算表がついてたから紹介するよ。」という書き込みを参照した。
65年ならばキエフ-5と同時期だ。また、「http://www.fantastic-camera.com/~cmehappy/articles/gost.htmlに1978年1月1日以降、GOSTは新GOSTとなってISOやASAと同じ単位になっています。」
というのがあった。
これは ゼニット-18,19のボディーについているGOST/DINの表示プレートでも裏付けられる。
ASA | DIN | GOST |
20 | 14 | 16 |
40 | 17 | 32 |
50-64 | 18 | 45 |
80 | 20 | 65 |
100-120 | 21 | 90 |
160 | 23 | 130 |
200-250 | 25 | 180 |
320 | 26 | 250 |
デザイン的に好いたらしい部分とウィークポイント |
ファインダーを避けるように巻き戻しクランクを90度曲げて逃がしているのが面白く、キエフ-5のデザイン上ポイント部分だが、このためストラップアイレットもボディーの前面に移動、ストラップで吊ったときバランスが悪く、つり下げるとそっくりかえってしまう。
反っくり返り仲間としても、デザイン的にも機能的にも同じように進化を遂げた最終形としてキヤノン7は興味深い比較対象だ。
キエフ-5とキヤノン7、しばらく並べてみていると、キエフ-5のコンセプトのまとめ方にはキヤノン7に近いモノを感じるのだが、どうだろうか。フェト2にも感じたのだがキヤノンのアバンギャルドなデザイン(機構も外観も含めて)はソ連のデザイナーに共振するものがあったのだろうか?などと妄想は暴走する。
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