ほぼ等倍のファインダーと距離計
パララックス自動補正

以前のキエフタイプのあのゴージャスな棒状のプリズム距離計からファインダーは大きく構造が変わって距離計はズレるようになった。
以前のキエフの距離計がまったく狂わないわけではないが、滅多に見ることはないと思う。
頻繁に使うなら距離計メンテナンスはライカタイプのように定期的にやらねばならないだろう。

調整は前面パネルを外し、セレン板をはずすが、縦ズレ、横ズレのアジャストが比較的簡単に出来るようになった。これは後で述べる。

このファインダーはちょっと青くて、暗く感じるときもあるものの、歪みもなく隅々までクリア。
全体ではおよそ35mmレンズ相当をカバーするはずだ。

ファインダー倍率はおそらく0.8xくらいだろうか。
今までのキエフと、ファインダー倍率は同じくらいのようだがキエフ-4と見較べると大きい分、遙かに快適で広大な景色が広がり大迫力。
が、惜しむらくはアイポイントが近くて眼鏡をかけていると35mm相当の画角の恩恵は受けられない。

ブライトフレーム
ブライトフレームは50mmで、フレーム枠はくっきりしているがフレームラインが太く、繊細さにかけるし、どうもこのフレームはちょいとアバウトなようだ。
この大きなファインダーを活かしてどうせなら85mm、135mmのフレームもあればよいのに!、と思っていたらなんと!
バリエーションで85mmブライトフレームの付いたタイプを発見した。 fig-2

fig-2:85mmフレームが入ったタイプ。
135mmの場合はレンジファインダーの色が変わる部分を目安にするといい感じ。

もしかするとキエフ-5専用のジュピター-9(いや、もっと大口径か!?)が計画されていたのか?
と、ひそかに心躍ったが、今のところそれは未聞。
でも、ソ連製は突然幻だったモデルが沸いて出てくるようなところがあるからひょっこりe-bay辺りにでてくるかも知れない。

ところで、このような青いファインダーは、多くの日本人には暗いと思うのだが外人さんは違うらしい・・・他稿、Zenit-19にも書きとめてみたが、最近 掲示板で読んだものに
「白人と我々じゃ、色の見え方が違う....日本人はプロビアが自然に見えて、彼らはアスティア?センシアか?)が自然に見えると、FUJIの人が言っていました。 」というのがあったので、フィルム会社では人が感じる色味の傾向は研究されていそうだ。
距離計の調整
基線長はおよそ*59mm。キエフ4aの長大な基線長から約1/3ばかり短くなった
*58mmの記事あり。2003

単純に精度が2/3下がったわけではないだろうが、物足りない感じではある。
50mmF1.8開放で、0.8×50×50÷(43(35mmの画面対角線)×1.8)=25.8mm、135mmf4では84.8mmだ。

理論上、キエフ-5の基線長は135mm開放には足りないが、実用上(最良の画質が得られるという2段絞ってのf8以上なら)では不都合ないということだろう。
(必要な基線長の出し方は、ファインダー倍率、0.8倍×焦点距離の二乗÷(画面の対角線の長さ×F値)を参考にした)

キエフ-5は縦ズレも横ズレも起こす。fig-3

距離計の調整ビスはセレン板の裏にある。
向かって右、ブライトマスクの前にあるのは上下調整。

ネジロックも塗られていないので、ここまではいじってもいい、ということだろう。
最初に回したときはちょっと冷や冷やだったが・・・、なにが起こるのか判らないネジを回すのは勇気がいった。

縦ずれ調整部分は、掲示板でディスカッション中KIEV NOTE 氏とOLD SOVIET CAMERA GUIDE氏によって確かめられた。こう言うときネットは大変便利がいい。

ところで、距離計付きカメラは、例えばライカや国産フラグシップ機でも結構頻繁にズレを起こしていたようで、以前は、と言っても、もうずいぶん前も前、約30年以上前のことだが、国内メーカーのサービスセンターやちょっとしたカメラ屋さんで、ずれたカメラを持っていくと待っている間に距離計調整をしてくれていた。
子どもの時の話だが、デパートに連れて行ってもらうついでに立ち寄ったサービスセンターで、距離計が調整されるのを待った思い出がある。(いや、今思うと逆だったかもしれない、サービスセンターのついでに家族への目くらましでデパートだったに違いない。)

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