Cnopm - SPORT 1935

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小型で手のひらサイズ、デスクトップに転がしておきたい逸品
ゼニットSでも同じように驚いたがサイズがとても小さいのである。

キネエキサクタの方がわずかに早い発表であったとされているが、全く異なった思想のカメラなので「どっちが早かった。」などという次元の話は全くナンセンス
・・・ということもすでに書かれているようだが 35mmとしてオリジナル機構を持ったものとすれば世界初と言っていいと思う。キネ-エキサクタはもともとあった120,127判カメラのストレッチ版といえるからだ。

デザインは非常に変わっていると言える、アールデコ・スタイルというには素朴だが 絶滅動物のような異形のデザインで、淘汰されてしまったデザインという感触。
これはカメラ屋さんのウィンドウ越しに見るのと、実際手に取るのではずいぶん印象が違うって、 だいいち質感が現代のカメラのそれではないから持った感じは独特だ。
鉄のかたまりといった重さではないがしっかりした質量を感じるし、手作りにはないマスプロ感というか、工業製品であることも確かに感じる。

おそらく、このシャッターは唯一無二の機構なのではないだろうか。
一種の立て走りシャッターなので先幕(幕ではなくてプレートだが)のプレートが引き上げられて走る後を後幕(プレートだが)がシャッタースピードに応じて追いかけていく(ボディーを)開けて見ていないのだがスリット幅を固定して走らせるようだ。
シャッター・ダイアルはファインダーの横に突き出るノブで、シャッターチャージもこのノブでクルリと回す。操作感はなめらか。
スピードはB - 25 - 50 - 100 - 200 - 500。

ファインダーは無限遠でもボンヤリする。他の個体もそんな感じなんでもともとそういう見え方のものかも知れない。
*レンズはIndastar-10 3,5/5cm 絞りは3,5 - 4 - 5,6 - 8 - 11 - 16。「I-10」、エヌが反対になったキリル文字1字だけでGOMSのマークがある。
そういえばどういうタイプなんだろうか?

レンズを覗くのはてっぺんのファインダーからだが、もう一つ、サブファインダーが付いている。
このころ、一眼レフはウェストレベルファインダーだけであったので、縦位置撮影が難儀だったはずだが、このサブファインダーがあれば、ピント合わせしてから縦に持ち替えてもOKなわけだ。
もしくはサブファインダーで被写体を追いかけて撮るとか名前の通りスポーティーな用途があったのかも知れない。

ファインダー・ボックスの向かって左肩のマークは裏が銀打ちされており、オレンジの透明なバッジはきらりと光ってなかなかキレイ。
これはGOMZのシンボルマークだが、これはずっと「ふくろう」のシンボルかなんかだと思いこんでいた。かなり長い間「フクロウのマーク のカメラ」という言い方をしていたのだが買ってみてやっと判った。

外観に「時代」も付いているせいか、のちのソ連製カメラのイメージを持ってするとまるで「別 物」で、 上品な革張り、非常に小型な事もあって精密さも感じるのだがプレス部品が主なので、経年変化には弱いのだろう、ボディーと裏フタの歪みでガッタガタであった。

当時、スポルトにどのようなシステムがあったのか?接写や望遠のためのシステムがあったのか?一体どのような使われ方をしたのか、それすら情報として入ってこない。これだけいろいろなソ連製カメラが入ってきているのに本当に幻というか、不思議なカメラではある。

スポルトにはお手本があったのだろうか?
他にスポルトに似たカメラがあるかどうか知らないのだが、ソ連のカメラや光学工業がドイツ製品に影響を受けていたのは間違いないだろうからきっと何かあるのだろう。

さわってみないと判らないことは多いものだが、レンズが交換式でバヨネットマウントだったのは驚いた。このカメラは有名だが以外と知られていなかったのではないだろうか。
しいて言うならやはりエキサクタ、コンタックスあたりの影響下にあったカメラだろう??

実はこのスポルトはもう手放してしまっていて、改めてスポルトを調べてみたくなったのだが、中古カメラ屋にいつもあるわけもなく、またおいそれと手に取ってみることが出来るようなカメラではないのだ。
ちょっと前、2002年の始め頃まで、新宿の大ガード付近の不機嫌なソ連製カメラ店に1台あったのだが、この店は簡単にさわらせてはもらえない...、値段もそここだったがちょっと手が出なかった。
最近も町はずれの一軒で見つけて、ここは好き放題にいじらせてくれたがシャッターが難有りで躊躇しているウチに売れてしまったようだ。

くのぷむ

インターネットで見るといくつかヒットするのだが、一番多くヒットしたのはなんとアルファベット「cnopm」で検索したときだった。
誰でも一度は誤読していると思うが、キリル文字に似たアルファベット「くのぷむ」が世界的にまかり通 っていたのである。ちなみに、1950年代に現れた「スタート」はcmapmである。コンビニの名前のようである。

検索にでてサイトはほとんどはヨーロッパ圏のサイトで残念ながら読むことは出来なかったが、cnopmを研究した市井のカメラ研究者がずいぶんいるようだ。
もっとも、その多くはキネ・エキサクタに絡めての記事でカメラの写真が載っている程度だが、いくつか試写 された例もあった。

日本のサイトでは
http://www.bremen.or.jp/t-moto/camera/ 「Classic Cameras がらくたカメラ!! のホームページへようこそ」のページがとても面 白かった。

sport.gif 63k世界的にも珍しいスポルトのGifアニメ

 

ほしがる人はあまりいないだろうが・・・スポルトの相場だが、普通の状態であれば日本では10万円は下らないと思う。
これだけ沢山のソ連製カメラが入ってきている今でも、ほとんど流通しないうえ、カメラ史にも重要な機種なので付加価値は高いということだろう。

間違いは35mm一眼レフの元祖(じゃなかったのだが)ということで自分のコレクション上、スポルトがどうしても必要だと思ってし まったことだった。
でも...世界初の35mm一眼レフはスポルトではなくキネ・エキザクタだったらしい...。
そんなお金があったら自分の部屋用のエアコンを買っておくべきだった。 案の定、2000年の夏は罰が当たったかのよ うに暑かったのである。
ところで、スポルトは1型とか2型があるようで、これは2型だろうか?
このカメラはケースも面白い形をしているので必須アイテムです。もってないけど。

初稿1999-06

初稿時、ファイル容量が大きくて乗せることが出来なかった画像を張っておく。

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